Reaserches

 

 


研究室の研究テーマ

放射線治療において患者さんに与えられた実際の線量を知りたい.
現在,放射線治療計画装置によって, 患者さんの患部のCT画像をもとに体内線量分布計算がなされます. 現在の計算手法は, 多くの部位で正しく計算できますが, それはCT画像に対してのみです. 言い換えればCT画像を撮影した瞬間の体位, 体内臓器/ガスの位置を再現出来た場合に体内にその線量が分布することとなります. 標準的には1日1回の照射を1-2ヶ月以上も続ける照射線治療において, 毎回の体位, また患者さんの体型維持など厳密な意味でその再現は不可能です.
病院において放射線治療を行う場合は, ある程度の体位/体内の臓器移動などを考慮して計画が立てられるため,このことが直接患者さんに不利益になることはありません.
ただし, より高度な,より高精度な治療方法を検討する時, 実際に与えた線量が不明な状況だと得られた治療成績が放射線治療計画のせいなのか照射時の変動のせいなのか明確ではありません. それらを明確にするため, 実際に与えた線量が必要になります.
実際に与えた線量が分かれば;
・ 治療成績(特に副作用)の予測が明確になる
・ 照射時の体位,体内臓器のバラツキの許容範囲が明確になる
・ 治療コース途中での線量を考慮したAdaptive Radiation Therapyが可能になる
実際に与えた1回1回の線量分布が分かれば, それを足しあわせていけば放射線治療のコースで与えられた線量分布を得ることができます. それをDose accumlation(線量積算)といいます. 我々の研究室では, dose accumulation が(もちろん正しく)出来るよう研究をおこなってきています.
アプローチ
実際に患者さんに与えた体内の線量を得る手法は大きく2つに考えられます. ただし,我々は放射線治療で一般的なX線による放射線治療を対象としています.
1. 患者さんを通り抜けてきた放射線を捉え, それをもとに体内の線量を計算する.
2. 照射直前に撮影した画像を元に線量分布計算をする.

1に関しては, すでにいくつかの論文がありソフトウェア製品(知っている範囲で Dosimetry Check, Math Resolution社)があるようです. もちろん, 透過した放射線を捉える装置(EPID)にも影響されるだろうし, 使用するX線のエネルギーなどにも影響されることが考えられるため, その正確性も検証しなければならないでしょう(残念ながら,本学にはありません…. ).
2に関して, 近年高精度な治療がより一般的になってきてCone-beam CT(CBCT)による患者位置補正が一般的になってきています.治療直前にCTが撮影されるため,この画像を使わない手はないと考えています.
CBCT画像で線量分布計算をしてやれば, その日の与えた線量が計算できることになります.
ただし, 照射直前にCBCTを撮影したとしても体のねじれや体内での位置ずれ, 体型変化はCBCT画像に含まれています. そのため, CBCTで計算した線量分布を単純に足し合わせることができません.ここでキーとなるのが, Deformable Image Registration(DIR)です.
DIRは, 画像間で各臓器がどのように移動,もしくは変形したかを計算し歪ませる度合いを求める技術です. DIRにより, 臓器の体内での位置ずれや歪み変形などが分かればそれに応じて画像を歪ませ,線量を合算していくことが可能になります. そのため, DIRの精度が重要になります.
簡単に書きましたが, 「正確に」と考えると単純にはうまくいかないのが現状です.

2019年追記

昨年の装置更新で附属病院に1に該当する装置が入りました.1に説明する装置そのものの装置もあれば,少し珍しいものも入りました.そのため,research groupにIn-vivo QA(IVQA)を追加しました.

またsurface imagingをもちいたSurface guided radiotherapy (SGRT)も導入されたのでVMAT班としていた臨床関係を2つに分けました.